田中文照堂 五代目店主

第67回大印展表彰式

田中文照堂です。

先日、2019年11月3日、大阪キャッスルホテルにて【第67回大印展】とその表彰式が開催されました。
私、田中文照堂店主の田中大晴も初めて【篆刻の部】に作品を出品し、銅賞を頂いておりましたので、同展に出席致しました。
大印展表彰式大印展表彰式

当日、同会場では全国の名のある先生方、諸先輩方とお会いすることが出来、また多数の出品作品を拝見出来、本当に楽しく、勉強になった一日となりました。
また、今回の出品にあたり、お世話になりました京都府印章彫刻技能士会の先生方、同志の皆様には心より御礼を申し上げます。
これからも良い印鑑製作へ向け、毎日精進致しますので、今度とも田中文照堂を宜しくお願い致します。

ものづくりマイスター

田中文照堂です。

この度、田中文照堂、店主の田中大晴が、印章彫刻の技術指導に於きまして、厚生労働省より【ものづくりマイスター】に認定されました。
ものづくりマイスター

【ものづくりマイスター】制度とは、厚生労働省の公認の元で、「各認定分野での技術指導や講習会等」に「講師や先生」として登壇する為に必要な資格で、各分野ごとの書類、技術力審査の後に、講習を修了した上で認定を受けることが出来ます。
私は田中文照堂という「はんこ屋」の店主であり職人でありますので、お客様のご印鑑を作り、お納めすることが仕事ですので、実務に直接関係の無い資格かもしれません。
ですが、毎日真剣に、全力で、お客様のご印鑑を【手彫り】で作っているという事は断言できます。またそのために必要な勉強や研究、試行錯誤も人一倍行っているという自信もございます。
そういった自分の技術力や知識量を「独りよがり」ではなく、「公的な第三者」(→厚生労働省)に認定して頂くという事は、決して無駄にはならないと考え、この度の認定となりました。
詳しくは 厚生労働省HP をご覧ください。
(厚生労働省HP内、令和元年度の認定状況PDF 内に掲載されております。)

これからも良い印鑑、お客様にお喜びいただける印鑑を作り続けていきますので、今後とも、田中文照堂をどうぞ宜しくお願い申しあげます。


印鑑ケースのフルオーダーについて

久しぶりの更新になりました。

店主の田中大晴です。

さて、田中文照堂では【印鑑ケース】について、特注内装など、様々な店頭在庫をご用意しております旨、以前の日記に書かせて頂いておりますが、内装、外装につきまして、お客様が全てお選びいただくことも可能です。
つまり、【フルオーダーに対応しております】という事になります。

今回、ワニ革の特注ケースが出来上がりましたので、その外装のみ写真を掲載させて頂きます。

ワニ革ケース

最近ではあまり見られなくなりましたワニ革の印鑑ケースですが、その中でも最高峰の【縦頭背ワニ】(左)と【横頭背ワニ】(右)のケースです。

【縦頭背ワニ】
縦頭背ワニ縦頭背ワニ

【横頭背ワニ】
横頭背ワニ横頭背ワニ

ワニ革といいますと、【光沢】があるイメージがございますが(私も以前はそういうイメージでした)、最高級の品質になりますと、質感の高いマット(艶なし)な仕上げに驚きます。
手触りもなんとも言えない高級感があります。

ワニ革を取り扱う業者様は多数おられますが、田中文照堂では、コストよりも品質重視で、最高品質と判断した業者様に特注をしております。

ワニ革での特注代金は正直お安くはございませんが、質感を見て頂ければ、ご納得いただけると思います。

こだわりの印鑑ケースのフルオーダー、いかがでしょうか?

どんなことでもお問い合わせ下さいませ。

印章彫刻技術の見本の制作

田中文照堂です。

京都は、昼間は少しずつ暖かいと感じる日も増え、春が来るのを実感しております。
さて、弊店ではお客様のご注文に応じた「手彫り印鑑」を製作している都合上、「完成品の写真」や「製作段階の写真」をHP上に掲載することが難しい・・と以前に日記に書きました。

京都市より拝受した「未来の名匠」の受賞作品や、「手彫り印鑑の製作工程」の写真はトップページに掲載しているのですが、それ以外の「手彫り印鑑」の写真は殆ど掲載出来ておりません。
毎日手彫り印鑑を製作し、お客様のご要望にお応えするべく試行錯誤も多く、難しい課題をクリアしていく作業を数え切れないくらいこなしており、技術的には自信もあるのですが、それを披露する場所がないのが現状です。

それならば、HP掲載用に少し難しい印鑑の製作をしてみよう・・と少し前からHP掲載用の印鑑製作を密かに開始しておりました。
素材は象牙の15mm丸です。
象牙を使用した理由は、単に「一番硬く、難しい素材」だからです。
象牙彫刻には「切れる印刀」と「彫刻技術」が必要で、彫刻した象牙の印鑑をお見せする事は、印章彫刻の初めの一歩である「印刀を研ぐ技術」から始まる【自身の持ちうる全ての印章彫刻技術を披露する事】と同等だと考えているからです。

図案を考察し、HPに掲載しております「手彫り印鑑の製作工程」に沿って作業を進め、完成後に写真を掲載予定でしたが、思うことがあり(後述)、途中写真を掲載することにしました。
製作途中の写真です。

カメラ性能の限界で接写が難しく、露出が分からないので複数枚掲載致します。
象牙印鑑象牙印鑑2象牙印鑑3

彫刻の作業、分野的には「密刻」に属すると思いますので、目盛り付きの画像も掲載致します。
目盛りは通常の定規、1目盛りは「1mm」です。
象牙印鑑4象牙印鑑5

先述の思うことがあり・・と言うのは、パッと完成写真を掲載するだけでは、「本当に手彫りしたのか?」「機械で彫ったのでは?」などの疑問に対し、「手彫りの証拠」が残らないと判断した為です。
弊店の「手彫り印鑑」は「100%手彫り」ですが、そうでないお店が多いのが現状です。
パソコンなどのデジタル機器でネット上の画像や手持ちの書籍、文献の良さそうな画像、図柄を彫刻機に取り込み、スタートボタンを押せば、図柄通りの印鑑が自動的に完成し(「機械彫り」)、そこに悪意を持って手彫り風なアレンジをすれば(悪意のある「手仕上げ」)、一見手彫り風な印鑑が完成します。
そういった印鑑ではないと証明するには、上記の「手彫り風機械彫り印鑑」では絶対に出来ない写真を掲載するのが一番単純かつ明快な回答だと判断しました。
「機械彫り」や「手仕上げ」の印鑑で「絶対に出来ない」のは、「その製作途中の写真を掲載すること」です。
「機械彫り」や「手仕上げ」の印鑑製作は「新品の印材を一旦機械にセット」してしまえば、完成まで取り出すことが出来ません。
仮に取り出したとしても、その製作途中の印面には「図柄の下書き」は絶対にありません。

「100%手彫りの証明」の為の長文、写真掲載となりました。
「当たり前のこと」を証明しなくてはいけない、難しい世の中になった・・とも感じております。
お読みいただき、ありがとうございました。

印面の彫り直し(改刻)について

田中文照堂です。


以前にも書かせていただいた内容ですが、
印面の彫り直し(改刻)についての追記になります。

田中文照堂では、いかなる印材においても、物理的に不可能な場合(割れがある、腐食がひどい、など)を除き、印面の改刻(彫り直し)のご依頼を受け付けている旨、以前にお伝え致しました。

その際の、「印鑑ケース」についてのご説明です。

印鑑の長さは規定の長さがあり、ほとんどの印鑑の全長はそのサイズで作られております。(弊店の四柱推命印鑑などの特注サイズを除く)

お手持ちのご印鑑の全長は「45mm」もしくは「60mm」ではないかと思います。
当然、印鑑ケースもそのサイズに合うように作られております。

ところが、印鑑の改刻時には、古い印面を切り落としますので、出来上がった印鑑の全長は規定の全長よりも必ず「短く」なってしまいます。
その印鑑を、もとのケースに収めると、当然、切り落とした分、ケースに余裕が出来てしまいます。
(下写真、左の状態。切り取った印面は中央上。)改刻ケース

幸い、このケースには内張りが付いておりますので、万が一、内部で印鑑が動いても(出来てしまった余分なスペースで)問題はありませんが、内張りのないケースの場合は、動くことで印面が欠けたり、破損の原因になりますし、何よりお使い時の「気持ちよさ」の面では、「切り取った形跡」が見えるのは良くないと考えております。

改刻と言いましても、印鑑の制作手順においては新しい印材と全く同じ、いや、切り取る作業を含めますと、それ以上の工程数、さらに最後には全面を特注の研磨剤で新品のように磨き上げております。

手前味噌にはなりますが、仕事には一切妥協しないと決めております。そして、その仕事の最終段階として、完成したご印鑑をお客様にお渡しする際には「ピッタリのケースにお納めしてお渡ししたい」という個人的なこだわりがありますので、田中文照堂では、改刻時には切り取り後のご印鑑のサイズの合わせて「特注サイズの印鑑ケース」を作成し、そのケースにお納めしてお渡ししております。(下写真、右)
改刻ケース2
上写真の場合もそうですが、これは内部だけではなく、「ケースのフレームごと特注」ている場合がほとんどです。(左右でケースの外寸、大きさが違うのがお分かりでしょうか?)

これは全くの勝手なこだわりによるものですので、ケース代金は頂いておりません。サービスでお付けしている物です。
もちろん、「それを見越して元々改刻代金に上乗せ」のようなこともありません。

ですので、「ケースは元々の物を使いたい」お客様には(以前の日記のような場合)、全く不要なサービスですが、そこはどうかご了承ください。

今後共、田中文照堂をよろしくお願い致します。


2019年になりました。

少し遅れましたが、あけましておめでとうございます。

本年も田中文照堂を宜しくお願い致します。

2018年の終わりに、店頭での決済方法が、今までの「現金と一部のクレジットカードのみ」から、現金はもちろん、その他に「すべてのクレジットカード、交通系ICカード決済、QRコード決済、中国系QRコード決済が可能」になりました。
ネットでの決済方法と合わせると、考えうる全ての決済方法がご利用いただける様になりました。
カード決済
これは個人的に田中文照堂の歴史に残る大きな改善だと思っております。
今まではご利用いただけるクレジットカードが限定的で、お客様に御迷惑をお掛けすることが多く、どうしても改善したかったのですが、システム入れ替えのコスト、手間暇を考えると・・どうしても一歩が踏み出せませんでした。今まで、本当に申し訳ありませんでした。

なぜ今回一歩を踏み出したのか・・と言いますと、外国のお客様がお支払い時に(事前に伝えていたのですが)現金の持ち合わせがなく、お持ちのクレジットカードはもちろん使用できず(これは弊店の責任です)、「帰国後、小切手で送金する」とおっしゃいました。
海外からの小切手の送金など受け取った事がなく、非常に困惑しましたが(もちろんこのまま音信不通・・の不安もありました)、頂いたネームカードによると、どうやらお店を経営されているようで、伝票を書くついでに住所を(コッソリ)Googleマップで見ると、確かに店舗が見えましたので、了承し、お客様が帰国されてからの連絡を待っておりました。

幸い、Eメールでの連絡はすぐに頂けたのですが、こちらの口座情報などの必要事項をお教えする際の手間暇が不慣れなせいか非常に難しく感じ、これがきっかけになりました。
無事にお代金は受け取れたのですが、「カードが使えていれば一瞬だったのに・・」と後悔しきりでした。

そして今回のシステム総入れ替えとなりました。

今後共、田中文照堂をよろしくお願いいたします。


改刻について

田中文照堂です。


先日、改刻(印面の彫り直し)についてお問い合わせを頂きました。
要約させて頂きますと、

・亡くなられたお父様が使用されていた印鑑があるが、お父様のフルネームの印鑑の為、そのままでは使用できない。
・思い入れのある印鑑なので、どうしても使用したい。(形見として持ち続けたい。)
・すでに持ち込んだ数店舗では「古い印鑑のため、改刻は出来ない」や、「新しく作ったほうが安い」、「印面の改刻は縁起が悪い」などの理由で全て断られた。

との事でした。

印鑑を拝見させて頂くと、「オランダ水牛」製の小判型の印鑑で、同じ素材で丁寧に作られた、凝った形状の専用ケースに納められた、今ではあまり見ないサイズの印鑑でした。

非常に古く、印鑑本体やケースの所々に欠けがあったりしますが、丁寧に使われ続けた印象です。

素材の経年劣化が心配ですが、

①作業は慎重の上に慎重をかさねて行う。

②経年劣化で脆くなっている可能性があるが、通常使用出来なければ改刻の意味はない(観賞用ではない)ので、各エッジ部(欠けやすいところ)の処理には一手間加えて、この先数十年の使用に耐えうる加工をする。

などを行えば、弊店の基準では「改刻できる」と判断し、作業を引き受け、完成いたしました。

御本人様のご厚意で、HPへの掲載許可をいただきましたので、写真を掲載いたします。

改刻
          【オランダ水牛・改刻・・8,000円】

お父様の思い出の印鑑との事でしたので、古い印面は「削り落とす」のではなく「手挽きノコギリで切り落とし」、お返しいたしました。
印鑑表面は鏡面まで磨いて耐久性を上げました。

また、ケースの割れを補修し(白い部分)、短くなった印鑑に合わせてケース内部に駒をいれ、内部で印鑑がカタカタ動かないように(割れ、欠けの原因になる為)してあります。(ケース関係の補修はサービスです。)

本当は素材色に近い補修材でケースの補修をしたいところですが、あいにく生体材料に強固に固着する補修材を今回使用したもの以外知らないため、今回はご了承いただきました。

印面の掲載は安全上致しませんが、この先、数十年、普通にお使い頂けると思います。

冒頭で書きました、他店舗様が今回の作業をお断りした理由について個人的な意見を述べさせていただきます。

「古い材料のため改刻できない」
そんなことはありません。工法と工具の選定を間違えなければ、おおよその場合可能です。おそらく「面倒くさい」のか「作業に自信がない」のだと思います。

「新しく作ったほうが安い」
材料費がかからない分、改刻のほうが安いのは明白です。
材料ごと買った方が安いというのは、その店舗様では改刻作業自体に必要以上の料金を課されているのではないでしょうか?

「改刻は縁起が悪い」
悪いオカルト的迷信です。印鑑、ハンコに霊的な意味は「絶対に」ありませんし、今回の場合、「お父様の印鑑を使い続けたい」というお客様のご意見に対して、失礼だと感じます。今回のお客様のご希望は、私には100%理解できますし、その技術があるのならば、ご希望を叶えるべく試行錯誤するのが職人の仕事だと思います。

田中文照堂では、こういった作業も喜んでお受けしております。
この先の使用に支障がある場合(相当な損壊)を除き、お断りする事はありません。その場合も、しっかりとご説明致します。
どんな内容でもご相談くださいませ。

改正・種の保存法

田中文照堂です。


本日より「改正・種の保存法」が施行されます。
象牙製品(象牙印材)販売に関する、登録事業者の名称が「特別国際種事業者」という名称に変更されます。

もちろん、田中文照堂は本日、平成30年6月1日より、新しい名称での登録変更に対応済みです。

象牙許可証・2018年6月

ご安心して、象牙印鑑をお買い求めいただけます。

正規流通の「本物」のみの取り扱いですので、全ての象牙について【政府登録シール】が付属いたします。

上記、法改正への対応報告でございます。

印章と印影について

田中文照堂です。


毎日【手彫り】にて印鑑制作を行っているのですが、前から感じていた「はんこ屋」ならでは(?)の葛藤がありました。

田中文照堂が制作しているのは印鑑(はんこ、印章)であり、それが日本では個人認証のツールとして使用される以上「完成後の印鑑、印影をHPや日記、SNSに掲載出来ない」と言う事です。

完成後の印鑑をお見せしたほうが【手彫り印鑑】、【京印章】の良さを皆様によりお伝えできると思うのですが、それが出来ない、掲載出来るのは制作前の印材のみ、いわば「素材」しか掲載出来ないのです。

もちろん、お客様に承諾を得てから掲載するのは可能です。
でも実印や銀行印は聞くまでもなく「不可」でしょうし、仮に「認印だからいいよ」とおっしゃって頂いても、その後、しばらく後に銀行印や実印としてお使いになる可能性はある訳で、そう考えると「お客様に承認を得て」も結局はんこ屋のモラルとして掲載は出来ません。

何とか掲載できないものか、、と常に考えておりまして、一つ思い付いていたのは「日本に旅行で来られた外国人のお客様がお作りになる印鑑」です。
これならば、自国で個人認証に使われる可能性は「0%」ですし、お客様の承認さえ頂ければ掲載可能です。

でもこれにも問題がありまして、上記の外国人のお客様が「お土産」「記念」として購入される場合、殆どがお客様のお名前を「漢字に変換した」印鑑です。
例えば「マイケル→真意気流」などのようになりますが、こういう場合に使う漢字はいわば「当て字」になる訳で、普段我々日本人が姓名で使用する「漢字」(=印鑑で使用する漢字)とは違う、見慣れない漢字の組み合わせになる事がほとんどです。
そして文字数も殆どが4文字、5文字と多くなります。
なので、出来上がりの印鑑、印影を見ても、どうしてもいつもと違う「違和感」が先んじて、【作りの良さ】が伝えにくいのです。
【作りの良さ】とは何かと比較したときの、いわば【相対的な感覚】ですので、「お客様に比較物が無い」、「お客様が見慣れない」場合は伝わらないのは当然です。

唯一可能性として期待していたのが「日本人風な漢字を使用できるお名前の、旅行等で来日中の外国人のお客様の印鑑」の場合ですが、今回ついに叶いました。

ANNEさんという旅行で来日中のお客様で、読みは「アンネ」、使用した漢字は「杏音」です。

この漢字なら日本人のお客様が見てもそれほど違和感なく「はんこ」として見て頂き、お手持ちのはんこと比べて頂ければその良さがお伝えできそうです。

あとは御本人の承諾を頂くのみ、ですがうまく英語で説明出来るか・・という最難関がございましたが、無事に快く「OK」を頂き、掲載致します。

アンネ印1
Ms.ANNE→[杏音] 
13.5mm square BOXWOOD

13.5mm角の薩摩本柘の印鑑です。
四角の印鑑(角印)は、日本では何故かあまり個人使用されませんが、「実印」「銀行印」「認印」全てにおいて問題なく使用可能です。

印影は

アンネ印2
このような感じです。

以上、長くなりましたが、【手彫り印鑑】の良さがお伝えできていれば嬉しいです。

新しい印材の取り扱いを開始致しました。

 1850年の創業以来、田中文照堂では、特に【手彫り印鑑】の印材(材料)として、「薩摩本柘」、「黒水牛」、「オランダ水牛(牛角の純白)」、そして「象牙」の4種類を使用してきました。


 その理由としましては、「田中文照堂の手彫り印鑑」として、お客様にご納得をいただける「印材としての性能」を有するか否か、を考えると、上記4種類のみがその全てを満たす、と考えていたからです。

 新しい印材があると知ればすぐに取り寄せ、テストをする、といった事は日常的に行っているのですが、なかなか性能面で納得できる印材がなかった、というのが実情です。

 田中文照堂が印材に求める「性能」は以下になります。

■切削性、加工性・・・印刀による「手彫り」において、微細な加工に耐えうる性能を有するか。

■堅牢性・・・出来上がった形状を長期維持できる強度があるか。(=硬度)

■耐久性・・・長期の仕様に耐えうる性能を有するか。(=靭性)

■商品性・・・価格に見合う品質感、質感を有するか。

 上記性能を田中文照堂として納得できるレベルで有する印材として、前述の4種の印材を取り扱っていたのですが、話は数年前に戻ります。

 京都在住の外国人の方が来店されました。

 日本人の奥様との間にお子様(女の子)がお産まれになり、お子様の銀行印を作りたいとの事でした。

 名前に「楓」の文字が入っているので、どうしても「楓」の印材で作りたい、との事でした。

 前述の、現在、田中文照堂では「楓印材」を取り扱っていない旨をご説明して、最終的には「楓印材」を取り扱う他店舗をお薦めまでしたのですが、「どうしても田中文照堂で楓印材を手彫りして欲しい」「性能面の不安要素は全て了解する」と言われました。

 そこまで言っていただけるのであれば、こちらもお断りする理由はないので、印材業者より「楓印材」を取り寄せ、手彫りし、納品致しました。

 その時に「楓印材」を手彫りした感触が、以前にテストをした(楓印材は相当前にテスト済みでした)記憶と違っていたのです。
 以前のテストの記憶では、「柔らかすぎて強度面で心配」なイメージが強かったのですが、印材の加工技術に革新があったのか、とにかく感触が悪くなかったので、ふと思い、印材業者から今ある天然木の印材のテストサンプルを(テスト済みも含めて)全てもらい、全て手彫りし、実際に使用し、印材としての性能を数年間「再テスト」しておりました。

 ふと思い、というのは「印材の加工技術が以前のままとは限らない。我々印章彫刻士が毎日技術の向上に努めているように、彼らも職人なのだから、印材加工の分野でも公にしていない技術の向上があるはずだ。」と当たり前の内容なのですが、「以前にテスト済みだから」という考えは、技術の進歩に付いて行けていない証拠だとハッとしました。

 毎日技術の向上に努めているつもりでしたが、印材の知識の面で「前にそうだったから、今もそのはず」という考えになっていました。

 これでは時代の進歩に取り残されてしまいます。

 大いに反省しました。

 そしてその「再テスト」で、2018年、4種の印材が「合格」し、 田中文照堂160年ぶりの「新商品」となります、【楓】、【智頭杉】、【神楽ひのき】、【白檀】の4種類の印材の取り扱いを4月下旬より開始致しました。

木目比較

 木目は各印材で特徴があり、見た目の品質感は全てすごく高いです。

 白檀は香木としての材料と同じですので、あの「白檀の香り」がします。こういう付加価値も重要だと考えております。

 もちろん、印材としての品質は田中文照堂が保証致します。

 店頭取り扱いを開始したばかりですので、ネット販売の商品欄にまだ掲載出来ておりませんが、申し訳ありません。現在掲載作業中です。

 ご希望のお客様は、電話やeメールなどでお問い合わせ下さいませ。

 価格は【楓】は薩摩本柘と同等、【智頭杉】【神楽ひのき】は黒水牛と同等、【白檀】はオランダ水牛と同等、となります。

 少々高額な印材も含まれますが、それに見合う「価値」はございます。店頭では既に各種のご注文を頂いております。

 田中文照堂の手彫り印鑑の印材に、新たな仲間が加わったご報告でした。

 今後共、田中文照堂を宜しくお願い致します。

四柱推命 幸運印章
個人の印鑑
法人の印鑑

5000円以上の印鑑は5年保証

営業カレンダー
  • 今日
  • 定休日
  • 18時閉店日

土曜日は基本的に18時閉店ですが、延長営業も可能です。
詳しくはお問合せ下さいませ。

田中文照堂 五代目店主

田中文照堂 五代目店主
田中文照堂 五代目店主

田中文照堂、五代目の田中大晴と申します。 弊店のページをご覧いただき、本当にありがとうございます。 京印章の世界は奥が深く、先輩職人を見ながら切磋琢磨の毎日です。 皆様に良い印章をお届けできますように、より一層の努力をしていくつもりでおります。
田中文照堂をよろしくお願いいたします。

・神戸大学大学院修士課程修了(工学部)
・国家検定【一級印章彫刻技能士】
・京都市認定【未来の名匠】(平成29年度)
・厚生労働省認定【ものづくりマイスター】(令和元年度)
京都府印章業協同組合指定【京印章制作士
京都府印章業協同組合理事

店長日記はこちら >>

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